Short stories
短編創作
言葉の持つ力(続き)
人は何時からか自分の思う事を伝える為、何かをする(させる)為に言葉を話すようになって、 後にその言葉を何時までも残す為に紙等に書き残すようになる。 だから言葉の持つ力は自分の口で自分の言葉で『話す』のが一番力強いのだろう。
『記録』として残された紙面やデジタルのデータでは伝えきれない事だってある。 逆に口から発する刹那の言葉には全ての人に伝えられる距離的な力は無い。 どちらも言葉には変わりないし、人に与える影響としての力にしてもどちらも持っているとは思う。 ただ、少し違うのは記録として残された『言葉』には書いた本人が望む力だけが宿る訳では無い。 読む側の感じ方や解釈が間違っていても訂正する事は出来ないからね。
直接話をして言葉を重ねていればこそ、自分の言葉を自分の望む意味で判って貰える瞬間が来る。 だから、向かい合って話す『言葉』にこそ本当の力というか生命が宿るんだね。と思う。
自分の言葉で他人を励ましたり叱咤したりもする。
自分自身にかける言葉だって同じように励ましたり叱咤したりもする。
何より、今だって私には自分の言葉で力になってあげたい人がいる。
だから私はみんなと同じ言葉を話す『人』になったのだ、とね。そう思う事が時々ある。
老人は諭す。
「だから、お父さんと喧嘩をしても、『死んじゃえ!』なんて言っては駄目だよ。」