Short stories
短編創作
空(続き)
缶のプルタブを2人同時に引いて、口に運ぶのも同時…。
彼女は目線をさっきと同じように景色の方へ戻している。
そして、また軽く溜息のような。
「そう、それだよ。」
「はい?」
「今、私ブルーですって感じでさ。気になったのさ。少しだけ。」
「え、私…。」
「いや、まぁ、良いんだけどさ、言いたくないだろうし、それはそれで。 どっちにしてもその話したら、通りすがりのお邪魔さんは消えようと思ってたし、ナンパと間違われてもアレだしな。」
「(微笑して)…ナンパ?、ですか?」
「ん、いや、こっちの話。」
俺も缶コーヒーを一口運んで、柵に両肘をついて彼女が戻した視線の方を向いて見る。
「この景色みて、俺は結構和んでたのに、君は溜息をついてる。見えてる景色が違うのかな?ってね。」
「…。」
一拍の間。