Y's Note

Short stories

短編創作

短編。この抜けるような空を見て少しも晴れない心なんて…。

とある山間部の観光地。 バイクを降りて一服。煙草に火をつける。

バスや車、ツーリングのバイクが停車している駐車場と少し高台になった見晴らしの良い休憩施設。

上を見上げれば抜けるように高い秋の空。

眼下には山の麓に広がる街が一望。

この場所は居るだけで何か気分が良くて自分は好きだった。

「何だろうな、自由…って感じかな?」

呟いてみる。

そして、上を向いて壁に寄り掛かりながら吹かした煙草の煙をゆっくり吐き出してみる。

「雲まで届くかな?」

そんな筈は無い。言ってみただけだ。

「ははっ、馬鹿だな俺は。」

また呟いてみる。上を向いたままで。

最近の鬱屈した日常がちっぽけな事に思えてきて少しだけ心が晴れて来たような気がする。

ふと視線を高台に向けると目に止まったのは一人の品の良さそうな若い女性。 だが、柵に肘をかけ、頬杖をついてボンヤリと景色を眺めている。

ボンヤリと、少し憂鬱な感じで。